イマヲイキル
愛知県・豊田
陶芸家

高橋 貴美

「陶芸を通して出会う絆を、共に育てる」

「君には芸術的センスはないよ」一番の理解者に言われた。
芸術作品として自分の陶芸が認められることは憧れだった。
前職はOL。翻訳の仕事に携わる中、ある上司の配属で人生を変えた。それまでの日常が一変し、好きな仕事も過酷になり身も心も苦しくなった。そんな疲れた心にゆとりを与えたのが陶芸教室だった。ある日、ふと手にした本から「女性も職人になれる」と知った。天の声だと感じた。陶芸学校の存在を知り、後先考えず仕事を辞めた。
作品作りや個展、販売と必死だった。ずっと自分の陶芸に何が足りないか探しもがいていた。そんな中、信頼する人からのその言葉が強く作品性にこだわる自らの苦しみから開放させてくれた。

暮らしの中で用いてこそ生まれる美しさ「用の美」。陶芸を通して出会う人たちと一緒により使いやすく育て創り出すこと。
温かい家族の団らんの手伝いになるように「用の美」を深めることが、母となり家族を持つことで見えた自分の陶芸だと感じている。

2011.10.19 取材
写真・文 ミゾグチ ジュン

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