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尾張の歴史に根付く、幻の山菜 – 自然生 –
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NEGI PON 「かぼちゃワイン」
NEGI PON 「とうふ。ぽん。」
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イマヲイキル
愛知県・豊田
自然薯
辻 泰成
「それは人生を映し、道を差し示す」
自然薯(じねんじょ)。それは山野に自生する山の芋。
ずっと父はその野生的な魅力にとりつかれていた。職を辞めて始めた自然薯料理の専門店は、突如訪れた栽培農家との出会いからだった。その縁に、自らの人生の道筋を示す天命だと感じたようだ。
小さい頃より店を手伝うことは当然だった。そのなか包丁を握り自分で料理をするのがおもしろかった。将来の進路に料理人への道を考えたが、父は大反対し職人でなく大学へ進学し幅広い知識を得ることが必要だと言った。それに従うもそこには自分が期待するものはなかった。ただ「料理が好きだ」その気持ちがずっと強まること以外は..
自然薯からリアルな現実を教わった。これは誰もが知る食材ではない。知って食べてもらうこと、そのための営業と商品の開発。そして経営とお金のこと。この土香る芋が生きるための多くの術と覚悟を与えてくれた。
新たな挑戦を、父の歩みを背に自らの意思を持って前に進む。縁あって出会った、志をともにする仲間と一緒に。
2012.3.15 取材
写真・文 ミゾグチ ジュン