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▼力添えいただいたイベント
NEGI PON 「かぼちゃワイン」
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イマヲイキル
山梨県・勝沼
ワイン醸造家
大村 春夫
「おいしい! その言葉にふれるために。」
勝沼は古いぶどうの歴史を持つ。
明治の時代より、この地で代々ワインをつくってきた。病気を患う父の手助けになると、中学の頃には大人たちに混じりぶどう畑に立っていた。ずっとワインをつくる雰囲気を感じて育った、だからこの道へ進むのは自然なことだった。
20才の頃には本格的にワインをつくり、その出来栄えに「ちょろいもんだ」と思った。だが、欲を出した翌年のできは違った、思い通りになるほどワインは単純ではないと知った。理想を形へと試行錯誤の繰り返しが始まった。フランスへの留学で得た一つの手法、そしてこのワインに期待する辛辣な批評を力に変え挑戦を続けることで、目指すワインの姿が見えてきた。
日本の美意識に寄り添うワインでありたい。
ある夫婦の何気ない食卓。言葉少なげに好物の煮物に箸をのばす夫、そんな夫に微笑みながら妻がグラスにワインをそそぐ。そんな二人の奥ゆかしさを、このワインがささやかなムードを演出する。そして「おいしいねっ」と、ささやいてくれる。その言葉にふれるために、日本の風土に脈々と息づいたぶどうの生命を、自らの夢そしてつくる喜びとなるこのワインに込める。
2012.8.9 取材
写真・文 ミゾグチ ジュン