イマヲイキル
大阪府・大阪
農業

山村 勝平

「アーティストとして、農とかかわる」

農業がトラウマだった。
物心つく頃からの実家での農作業。キツイ、メンドクサイ…そんな思い出だけだった。そんな中、書と出会い自身の葛藤を打ち払う様に没頭していった。書道家…ストリートアーティストとして大阪の街で活動し、ニューヨークに渡った際には著名人との交流もあった。
道ゆく人々の心を表現できるこの書を通して、都市に出会う多くのみんなには癒す方法を持たない心のキズを抱えていると気づいた。

「まず身近な、この世界を変えたい」そんな思いで始めたのが屋上の菜園だった。食は生きる要、人は生命を育む土にふれることが必要だ。それは自らの農に対して抱いていたトラウマにも向き合うことだった。農をアートとしてとらえ、そこへ今までの経験と自分にしかできない新たな息吹を注ぐことでゼロからの表現が可能だと感じた。人は生命の営みにふれ、新たな創造をすることで心のキズを癒す方法を自然につかんでいける。

そんな心の化学反応をうながす屋上のアーティストを目指したいと、実ったばかりの赤いミニトマトを口に運んだ。

2010.7.29 取材
写真・文 ミゾグチ ジュン

PAGE TOP