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ヨーロッパ人が最初にトマトに出会ったのは、コロンブスが新大陸を発見した約30年後の1519年、スペイン艦隊を率いたコルテスがメキシコ・アステカ王国に侵攻した時でした。
英語のトマト(tomato)はスペイン語のトマテ(tomate)が語源で、古代アステカ語でトマトを「トマトゥル (tomatl):膨らむ果実」と呼んでいたことに由来しています。

当初のトマトはヨーロッパの人たちに受け入れられることなく、「トマトには、毒がある」と長らく信じられており、これは同じナス科の「マンドラゴラ」を思わせる似た実をつけるためでした。
「マンドラゴラ」の実は、有毒で古くから魔術的な儀式に使われており、強烈な催淫作用があるため媚薬として用いられ「愛の果実」や「極楽の果実」とも呼ばれていました。
そのため同様にトマトも「愛のリンゴ」「黄金のリンゴ」と呼ばれました。イギリスではラブ・アップルと呼ばれた時代もありました。リンゴなのは聖書の禁断の果実を連想させ、黄金とは古い文献でトマトは「はじめは緑色だが、熟すと黄金色になる」と紹介されていました。

トマトには毒があると信じられていた時代、1820年9月26日に2000人もの群衆の前でトマトを食べてみせたという男がおり、その食べる姿を見て悲鳴が起こり、失神する女性もでたという逸話が残っています。


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